062 【Specialist Column by尾﨑冨美】 『全米で約30億人に影響〜10月はEczema啓発月間』

全米で約30億人に影響を及ぼしているのにも関わらず、その存在感が薄いEczema(アトピー性皮膚炎)。日常生活への質が保てず、悩まされている方も多いであろう。アメリカでは10月がEczema啓発月間であることから、エステティシャンの視点よりその対策と予防について簡単に取り上げてみることにした。

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Eczemaとは何か?日本語に訳すと、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis)、適切な呼び方ではアトピー性湿疹(atopic eczema)のことを示す。ギリシャ語の語源では “boiling over”(吹きこぼれる)と言われ、実際に湿疹で苦しんでいる人が、そのように症状を表現するであろう。時にはジクジクした激しい痒みを伴い、症状が改善されないまま、ぶり返すことが多い。湿疹の特徴としては赤みのあるものや、盛り上がりをみせたプツプツ、水分を含んだジクジク、しこりのようなゴツゴツやかさぶたなど。湿疹ができやすい部位として知られているのは顔、首や耳、脇、ひじの内側や外側、ももの付け根、ひさの表や裏など、個人差はあるが、年齢や性別を問わず、症状は様々である。人から人への伝染はない。
スイスのネッスレ研究所が2015年に発表された論文、”Atopic Dermatitis--Global Epidemiology and Risk Factors” によると、アトピー性皮膚炎は世界の人口の約20%の子供と約3%の成人に影響しているという。慢性病とも言われ、特定した原因は未だ解明されていないのが現状である。


上記症状から、日常生活面への質(Quality of Life=QOL)を保ちたくとも保てない人が多い。痒みの影響で睡眠時間が浅かったり、学校や職場などの世間の目から日常ストレスに及ぶ。アメリカにある啓発団体National Eczema Association (https://nationaleczema.org/)によると、4人に1人の子供が学校でいじめを受けて、精神的に苦しんでいるのが現状という。このように特定の原因が不明な症状や疾患には統合医療(Integrative Medicine) が注目される。医療システムや西洋医学だけでなく、東洋医学や日常の徹底したホームケアなども含んだ、患者にとって最良の恩恵を与えうる可能性を目標にケアをしていくことを目指す。


エステティシャンの視点から語れるのはあくまで日常生活面でのケアについてのご提案が適切になるが、少しでも症状が緩和されることが期待できる対策としては、乾燥肌と入浴方法の2点に注目したい。


乾燥肌対策
QOL向上へと結びつけるには、処方箋の飲み薬や塗り薬だけでは難しいと専門家は指摘する。患者と医療機関のコミュニケーションや信頼度、そしてチームワークで精神面への影響を少しでも楽にし、症状によるストレスを緩和することが重要不可欠となる。乾燥肌対策には表皮にある肌のバリア機能を高める保湿剤(Humectants)と閉塞剤(Occlusive Agents)が勧められる。
保湿剤(Humectants)は細胞と細胞の間で水分をボンドのように支える役目を果たし、乾燥を防ぐように保ってくれる。保湿剤としてよく目にする原料はグリセリン、ジメチコン(シリコン剤の一種)、ヒアルロン酸、アロエベラなどが挙げられる。
一方閉塞剤(Occlusive Agents)は、肌に含まれる水分量を安定させ、有効成分が更に蒸発しないよう、しっかりと封じる役目として多く使われる。主な原料としてはワセリン、オイル、シアバターやココアバターなどが挙げられる。
保湿剤と閉塞剤の機能を維持することで、肌の水分量を安定させ、乾燥を防ぎ、痒みの軽減へと導いてくれることが期待できる。理想としてはお風呂やシャワーから出た2分から5分までの間に刺激の少ない、肌に合った保湿剤と閉塞剤を塗布することが勧められる。


入浴方法
常日頃から清潔感を保つ上で、エクゼマ患者にとっての正しい入浴方法は個人差がある。疾患に悩まされている期間や目的、そして浸かる水にも症状が影響する。ドイツのマールブルク大学が率いる研究チーム(The effects of Thermal Stimulation on Clinical and Experimental Itch, Henrich Fruhstorfor)によると、水温が摂氏45度以上では症状が増悪した為、長風呂は控えたほうが無難であると言われている。一方で日本の研究チーム(Treatment of Refractory Cases of Atopic Dermititis with acidic hot-spring bathing; Kaoru Kubota et al)によると、1日2回、摂氏40度以下若しくはその程度の温度で10分間、ミネラルをたっぷり含んだ温泉水に浸かったことで、42名の被験者中、30名に症状の改善がみられたという。また悪化因子を防ぐホームケアとして、アメリカの皮膚科では少量の家庭用漂白剤を含んだブリーチ風呂を推奨。これを約10分間、週2回継続することで、エクゼマの症状に改善がみられたとの報告もある。
そして入浴の際、身体に摩擦が起きやすいナイロンタオルやスポンジなどの使用は控え、ぬるま湯でなるべく素手で洗うことを徹底したい。身体を拭くバスタオルも常に清潔な物を使い、水分を軽く拭き取る程度で十分である。


最後に
エクゼマについて、追求するほど奥が深い。ストレスを溜めず、より清潔な環境を心掛けることが大切である。体質的、環境的な要因が入り混じるが、皮膚への刺激を軽減するよう、ハウスダストや洋服の洗濯洗剤の見直し、通気性のある洋服や身体を直接しめつけない下着の着用など、日々配慮することが勧められる。今回の啓発月間を機に、予防を意識した生活習慣を身につけるきっかけとなれば幸いである。


【出典】
National Eczema Association Website

Eczema e-book by DERMVEDA

Atopic Dermatitis: Global Epidemiology and Risk Factors (2015 by Sophie Nutten PhD.)

The effects of Thermal Stimulation on Clinical and Experimental Itch (1986 by Henrich Fruhstorfor PhD.)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0304395986900485#!

Treatment of Refractory Cases of Atopic Dermititis with acidic hot-spring bathing (1997 by Kaoru Kubota PhD.)





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