050【Specialist Column】by尾﨑冨美 『Less is More精神のグリーンビューティーに迫る~Indie Beauty Expo Los Angeles 2017現地レポート』

2017年の幕開けは、気分も新たにIndie Beauty Expo Los Angelesが行われ、2日目の最終日に初めて参加した。ニューヨークに本社をもつIndie Beauty Media Group LLCが主催の展示会は、ロスアンゼルスのダウンタウン地区、ファッション街の中心、California Market Centerの最上階で煌びやかに開催。昨年よりロスアンゼルス、テキサス州ダラス、ニューヨークの3か所で執り行われ、今年で2回目の開催となる。割と新しい美容展示会として、多くの業界関係者から注目を浴びている。
セルフィー場所にぴったりのIndie Beauty Expo入口。


Indie Beauty ExpoのIndieとは?英語で「Independent=独立」の略である。個人や家族ぐるみで化粧品や日用品ブランドを独自で開発、運営している小規模企業を意味する。出展者の多くは立ち上げから約5年未満の新規企業が集結し、少量の在庫単品管理(SKU)で製造。自らのブランドに対する誇りと商品へのこだわりを守りつつ、大量生産は控えめ傾向にある。
Indie Beauty市場の特徴と言えば、環境に優しいエコなパッケージングや有害な保存料、防腐剤や着色料などを排除した商品が殆ど。そして、VeganやGluten Freeのラベルがあると更に安心度が高まる。これらの条件をクリアしたものを、Green Beautyと彼らは名乗る。
Indie BeautyはGreen Beauty。概要はとてもシンプルで控えめ。最小限度の要求を揚げるミニマリスト達が上昇傾向のアメリカで、まさにLess is More精神が、美容業界にまで浸透している証拠である。Pantone社が昨年末に発表した2017年のメインテーマカラーがGreeneryであるが、Greenery色のテーマと、Indie Beauty=Green Beautyトレンドがうまく融合されている気がするのが私だけであろうか。



商品が真正であり、「自然に戻る」「原点に顧みる」Indie Beauty。90%の商品は「ナチュラルコスメ」を象徴する。アメリカで1980年代初期から2000年頃に誕生した「ミレニアル世代」は、商品に対するこだわりや個性の強い世代として知られ、現代の主なトレンドセッターである。ミレニアル世代からみる、アメリカでの美容トレンドは二つ挙げられる。一つはナチュラルコスメ、二つ目がIndie Beauty。ミレニアル世代にとって、美容とはダイエットと同じく、彼らの生活そのもの。化粧品や日用品を日々塗布することで約60-70%もの原料が皮膚へ透過されると囁かれている中、ティーンからアンチエイジングの方まで、全人種の肌質に合う、エコで環境に優しい、高品質で自然派商品を強く求む。SNSや口コミ、PRの力を利用し、商品に対する原材料の透明性、環境や社会の観点から持続可能にしている企業に惹かれる。(例:購入した商品の一部を非営利団体や社会活動などへ寄付するなど、Indie Beautyを購入することで一石二鳥のメリットを求めようとする) マーケティング調査会社NPD Groupの2015年市場分析によると、「メイクやスキンケアなど幅広く、一般化したものに限らず、美容市場そのものが特定された新ブランドに焦点を合わせたものが、市場の扉を開いている証拠である。」*

Indie Beautyには女性経営者が多く、企業家スピリットを大いに発揮し、世代と共に受け継がれているこだわりの商品やブランドの誕生秘話、経営ストーリーなど、女性ミレ二アル世代が感銘を受けるものがヒットする。神秘性を取り除き、シンプルで判りやすく説明されている商品が多く生み出す動きがある。オーナー秘話がその企業独自のものであり、市場に最も接近性があるもの、そして消費者と密な関係を持つことを重要視する。大手企業とは異なり、カスタマーサービスなどで個別対応をすることにより、顧客満足度を上げることができるのがIndie Beauty企業の利点。商品がどこで、どのような製造方法を取っているか等の情報を共有化することにより、顧客の信頼度を得るように心掛けている。

パネルディスカッションでは多くの業界関係者が耳を傾ける。


気になる今年2017 年のIndie Beautyのトレンドは、「原点を再認識」すること。環境に優しく、地元密着型の原材料を使用することにより、市場の興味を高め、消費しやすい商品を生み出すことが予測される。例えばエッセンシャルオイル、シアバター、海藻など良質な原材料を見直すことは勿論、最近では抗炎症作用で知られるCBDオイル(Cannabis Oil)にも注目したい。CBDオイルを使用した商品トレンドの予測については、昨年11月のアメリカ大統領選挙の投票と同時に、嗜好用大麻使用が合法化されたことにより、これから最も注目したい原料である。更に乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクス入りの化粧品も再注目される傾向という。


Indie Beautyで注目したい要点は内面からの美容、上品でオーガニックな容器やパッケージ、高機能な結果へと導く商品、美しく艶っぽい肌の上に自然に見せるメイク。自然派メイクに因んで、無色に近いリップグロスがカムバックする傾向という。唯、ここでIndie Beauty関係者が忠告するのは、「トレンド」はあっても、「トレンド」に飛びつくのも好ましくない。そして、独断的にグリーンビューティーに偏る必要もない。一人ひとりの個性が引き出せるよう、心ときめくポイントがあるものがグリーンビューティーを物語り、自ら気に入る分野を少しずつ探っていくことを勧める。




Research and Marketsの調査によると、2018年度の世界レベルで見る化粧品・美容業界の売上高は$4610億USドル (日本円にして約52兆円)、2013年の$3790億USドル(日本円にして約43兆円) に比較すると確実に収益を生み出している。**
ミレニアル世代のように特定の需要や客層ニーズをもつ、小規模なニッチ市場と高級志向のプレステージブランドによる伸び率が結果として表れている。更にTransparency Market Research の調査によると、世界レベルでのオーガニックと名乗る日用品、うち、スキンケア商品は1/3となるが、2018年までには132億USドル(日本円にして約1.5兆円) へと市場が上昇傾向にある。


Indie Beauty出展者の最終目標は、小売り店やオーガニック系スーパへの出店、大手テレビショッピングやオンラインサイトなど、幅広いジャンルへ出品し、売り上げること。出展者の中にはスパ・サロン業界への小売りも視野に入れる企業も存在する。施術を中心とした経営方針のスパ・サロン業界とIndie Beautyの融合にも期待感が高まるが、同じく「こだわり抜いた」商品を求めるのも、スパ・サロン業界のカルチャーを理解した上で、最良の商品を提供してほしいと願う。


ミレ二アル世代も含め、一般消費者は常に新しい美容、結果が期待できる原材料を求む。Indie Beauty Expoで吸収した最新の情報を共有すべく、常にベストを尽くして業界トレンドを注入し、Green Beautyに対する興味が広まる一年になりそうだ。


【出典】


*Npdgroup.com


**Researchandmarkets.com
Indie Beauty (American Spa January 2017 insert) page 20


5 Indie Trendsetters (Global Cosmetic Industry November 2016) page 14-16


Indie Beauty Expo (http://indiebeautyexpo.com/)
Trade Indie January 19, 2017 Panel:
“Latest Trends in Indie Beauty” panel discussion
“Incorporating Indie Brands Into Your Treatment Programs” panel discussion


【開催場所情報】

California Market Center
110 East 9th Street, Penthouse 13C
Los Angeles, California 90079









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